OSのクリーンインストール後、取り外していた256GB SATA SSDを接続した時にそれは起きました。パソコンに接続してもマイコンピュータに表示されず、ディスクの管理で無効化されているという症状です。
調べてみたところ、OS上からは「データを初期化してベーシックディスクに変換する」しかできない状況です。つまりデータを残したまま再認識させるには、それ以外の方法を取らなければなりません。
さらに調べたところ、データを残したままでディスク形式を変換する方法はパーティション管理ソフトを導入して、ベーシックディスクへ変換することです。
--遭遇したトラブル
ダイナミックディスクは無効になった状況
いつ、ダイナミックディスクは無効になった問題が発生しますか?
❶コンピュータシャーシまたはPCアクセサリー(コンポーネント)を変更・交換すれば、ダイナミックディスクは無効となっていることがあります。
❷ダイナミックディスク(リムーバブルディスク:取り外し可能な記憶装置)を別のコンピュータに接続したあと、ダイナミックディスクが無効になり、すべてのデータを読み込めないことがあります。
❸コンピュータに2つのオペレーティングシステム(デュアルシステム)がインストールされています。1つのOSでダイナミックディスクが正常に表示されますが、もう1つのOSでダイナミックディスクが無効と表示され、読み取れないディスクになることがあります。
💔ダイナミックディスクは無効になったときの症状まとめ
「ディスクの管理」では認識されていますが、Windows 10の「ディスクの管理」で「ダイナミックディスク 無効」と表示されます(Windows 7の「ディスクの管理」で「ダイナミックディスク 異形式」と表示されます)。
パソコンに認識できなくてExplorer(エクスプローラー:ファイル管理ができるアプリ)に表示されません。
パーティション(ボリューム)操作はできないし、データにアクセスできません。
OS上からベーシックディスクに変換できますが、データは消えます。
ベーシックディスクとダイナミックディスクについて
HDDの扱いには「ベーシックディスク」と「ダイナミックディスク」があります。通常のHDDはベーシックディスクで扱われ、必要に応じてダイナミックディスクに変換されることもあります。
ベーシックディスクについて
ベーシックディスクとは、Windowsのストレージ管理方式の一つで、従来からある、単純で固定的な領域管理を行うもの。Windows 2000で登場した「ダイナミックディスク」と対比して旧来の方式をこのように呼んでいる。
IT用語辞典 e-Wordsにより
ベーシックディスクでは領域のことを「パーティション」と呼びます。1台のHDDをパーテーションで区切って複数台のHDDとして使用することができます(内部を複数の独立した領域に区切ります)。
ベーシックディスクのMBRでは最大4つのプライマリパーティションまたは、プライマリパーティションが3つ、拡張パーティション(拡張パーティションの中にはさらに論理ドライブを複数作成できます)が1つ作成できます。また、2TBしか認識できないという容量制限があります。ベーシックディスクのGPTでは128個までのパーティションを作成できます。容量制限も8ZBまでなので、ほぼ制限がないと思ってよいです。
従来形式のため、多くのOS(Mac、Windows、Linuxなど)に対応しており、マルチブートと呼ばれる複数OSの混在もできます。また、OSはパーテーション毎にしか入れれらないため、複数のOSを1台のHDDに入れる場合はベーシックディスクでなくてはいけません。
※注:複数のOSが入っているベーシックディスクをダイナミックディスクに変換したあと、現在ブートしているOSを除いて、ほかのOSが起動できなくなります。
ダイナミックディスクについて
ダイナミックディスクとは、Windowsのストレージ管理方式の一つで、領域の分割や統合を柔軟に、動的に行うことができる方式。基本的な管理方式であるベーシックディスクと対比される。
IT用語辞典 e-Wordsにより
ダイナミックディスクでは領域のことを「ボリューム」と呼びます。ドライブをボリュームで論理的に区切ることになります。装置全体が1つのパーティション(つまり、1ドライブに1パーテーションのみ)で、その中にボリュームを2000個まで作成することができます。
ダイナミックディスクは、1つのボリュームが1つ以上の物理ディスク上で連続していない領域を持つことを可能にします。※つまり、複数台のHDDに渡ってボリュームを作成することができます。
このように、ダイナミックディスクは容量制限もなく、パーティションの自由度も高いです。しかし、従来の環境と互換性がなく、Windowsの独自仕様なので、他のOSやパーティション管理ツールでは、ダイナミックディスクに対応していない場合が多いです。
🎃補足:ダイナミックディスクは「シンプルボリューム」「スパンボリューム」「ストライプボリューム」「ミラーボリューム」の4種類があります。
「シンプルボリューム」は一般的な領域のことです。「シンプルボリューム」以外に拡張されたボリュームが3つあります。
「スパンボリューム」は複数のディスクにまたがって1つのボリュームにできます。HDDを2本使って、それをCドライブにすることができます。
「ストライプボリューム」は複数ディスクに同時アクセスするため速いという特徴があります。
「ミラーボリューム」とは複数のディスクに同時に書き込みます。ハードディスクを2つ使用し、2つに同時に書き込めば、1つのハードディスクが故障してももう1つのハードディスクが使えるため、何かあったときのための保険として使えます。
ベーシックディスクとダイナミックディスクの違い
パーテーションの分割とボリュームの作成は似ていますが、ベーシックディスクとダイナミックディスクには大きな違いがあります。以下のようにまとめます。
比較項目
ベーシックディスク
ダイナミックディスク
管理区分
パーティション
ボリューム
対応OS
Windows以外も可
Windowsのみ
容量制限
2TBまで(MBRの場合)
なし
スパンボリューム
非対応
対応
ストライプボリューム
非対応
対応
ミラーリング
非対応
対応
ベーシックディスク→ダイナミックディスクへの変換はそのままできますが、ダイナミックディスク→ベーシックディスクへの変換はディスクの中身をフォーマットして初期化する(データを失うことになる)必要があります。つまり、ベーシックディスクからダイナミックディスクへはいつでも変換できますが、その逆はHDDが空の状態でないといけません。
ダイナミックディスクは無効になった原因
ダイナミックディスクは無効になった主な原因は、以下のようなことが考えられます。
●一部のWindowsオペレーションシステムは、ダイナミックディスクをサポートしません。例えば、すべてのHomeエディション(Windows XP Home、Windows Vista Home Basic、Windows Vista Home Premium、Windows 7 Home Basic、Windows 7 Home Premium、Windows 8 Home......)、Windows 2000以前のOS(Windows 98、NT、MS-DOS......)、Windows 7 Starterではダイナミックディスクがサポートされていないので、「無効」と表示され、使用できなくなります。
●ダイナミックディスクに関する一部の情報はレジストリに保存されています。ダイナミックディスクを別のコンピュータに接続しても、一部の情報はそのWindowsのシステムレジストリに記録されていないので、ダイナミックディスクが「無効」となり、認識されないことがあります。こういう時に、ダイナミックディスクに関する情報をすべてレジストリにインポートする必要があります。
また、情報インポート中に、別のオペレーティングシステムと互換性がない場合に「ダイナミックディスクが無効になった」エラーも発生します。
※補足:レジストリとは、Windowsにおいて、システムプログラムやハードウェア、ユーザプログラムなどのシステム情報が格納されているデータベースのことです。
無効になったダイナミックディスクを復旧する方法
TestDisc でパーティション復旧が確かに行えるし、「ディスクの管理」でベーシックディスクへの変換も可能になりますが、「ボリュームの削除」が必要なので、データがすべて消えてしまいます。次は、データを失うことなく、無効になったダイナミックディスクを復旧する方法についてご紹介しましょう。
解決策1:ダイナミックディスクをベーシックディスクに変換
▶AOMEI Partition Assistant Professionalを使う
AOMEI Partition Assistant Professional は強力なディスク管理ソフトで、データを残したままダイナミックディスクからベーシックディスクへ変換することができます。簡潔で分かりやすい画面の指示に従って、誰でも(パソコン初心者でも)簡単かつ高速に操作を完了することができます。
手順 1. このソフトウェアをお使いのパソコンにダウンロードし、インストールし、起動します。
ヒント: デモ版は動作確認の目的でのみ使用されます。つまり、デモでは、すべての機能をプレビュー、すべての操作をシミュレートすることしかできません。
手順 2. ツールバーの「変換」タブをクリックし、ドロップダウンメニューから「ダイナミックディスク変換器」をクリックします。
手順 3. Dynamic Disk Converter(ダイナミックディスク変換器)の画面が表示されるので、「次へ」をクリックします。
手順 4. 必要に応じて、適切な変換方式を選択し、「次へ」をクリックします。
手順 5. 後は、ベーシックディスクに変換したいダイナミックディスクを選択し、ガイドに従って変換操作を完成させます。
これだけでなく、HDDをうまく管理できる為に、AOMEI Partition Assistant Professionalはパーティションのサイズを変更、パーティションを移動/結合/分割、OSをSSDに移行、ブータブルCDを作成、アプリを2つのパーティション間で移行 するなど、もっと高度な機能を備えています。
▶AOMEI Dynamic Disk Managerを使う
AOMEI Partition Assistant Professionalのほか、AOMEI Dynamic Disk Manager を利用してデータを残したままダイナミックディスクをベーシックディスクに変換することもできます。
AOMEI Dynamic Disk Managerは、ダイナミックディスク&ダイナミックボリュームを管理するためのソフトウェアです。データを失うことなく、ダイナミックディスクとベーシックディスク間での変換を実行できます。Windows 11/10/8/7/Vista/XP/2000それにWindows Server 2000/2003/2008/2011/2012/2016/2019/2022に対応します。
手順 1. AOMEI Dynamic Disk Managerを起動します。※ヒント:AOMEI Dynamic Disk ManagerがAOMEI Partition Assistant Professionalに搭載されているので、AOMEI Partition Assistant Professionalからダイナミックディスクを選択し、AOMEI Dynamic Disk Managerを起動することができます。
手順 2. AOMEI Dynamic Disk Managerでダイナミックディスクを右クリックし、「Convert to Basic Disk(ベーシックディスクに変換)」を選択するか、左側の「Convert to Basic Disk(ベーシックディスクに変換)」を選択します。
手順 3. 後は、ガイドに従って変換操作を完成させます。
ダイナミックディスク管理ツールとして、AOMEI Dynamic Disk Managerは数回のクリックだけでダイナミックディスクとベーシックディスクの間で変換を行うほか、ダイナミックボリュームを作成/削除/フォーマット/リサイズ/移動したり、既存のアレイ(RAID構成)に物理ドライブ(HDD)を追加/削除したりすることもできます。
解決策2:ダイナミックディスクに関する情報をインポート
手順 1. 「コンピュータの管理」画面から「ディスクの管理」を実行し、異形式となっているダイナミックディスクを右クリックし、メニューから「形式の異なるディスクのインポート」を選択します。
手順 2. 「形式の異なるディスクのインポート」画面でインポートするディスクグループを選択し、「OK」クリックします。
手順 3. 「形式の異なるディスクのボリューム」画面でボリュームの状態が「OK」と表示される(そのディスク上のデータにアクセスできるようになる)ことを確認し、「OK」クリックします。
これで「ディスク管理」画面にダイナミックディスクが正常に表示されるはずです。エクスプローラーからも、HDDは問題なく認識されています(認識されるまでに若干待ち時間があるようです)。書き込みと読み込みのテストを試して、問題がないことを確認します。
あとがき
ダイナミックディスクは優れたディスク管理方式のように聞こえますが、実はクセモノです。様々な原因により、無効となっている場合が多いです。そのため、ダイナミックディスクは極力使わない方がいいです。無効になったダイナミックディスクを復旧するために、本記事で紹介した方法を試して、データを失うことなくダイナミックディスクをベーシックディスクに変換することができます。
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